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2008年11月26日(水) 浦和競馬場 2000m

 

浦和の短い直線で7馬身差、堅実なレース選択でタイトル奪取

 2000年にジャパンカップダートGIが創設されて以来、時期が近いこともあって、その裏番組的な存在ともなっている浦和記念JpnIIだが、それゆえにここからダート路線で飛躍を遂げる馬が出現することもある。
 05年にこのレースを制したヴァーミリアンがその代表だ。初ダートとなったエニフステークスを勝ってここに臨み、3歳ながら歴戦の古馬をまったく相手にせず3馬身差の圧勝。その後、ドバイワールドカップに2年連続で遠征したり、JBCクラシックJpnIを連覇するなどの活躍はここであらためて触れる必要もないだろう。
 そのヴァーミリアン同様、将来に期待を抱かせるレースを見せたのが、3歳馬スマートファルコンだった。
 スタートは今ひとつも、最内枠でもあり押して先頭を奪うと、キングスゾーン、マズルブラスト、トーセンブライト、クレイアートビュンなどが直後の2番手で競り合うのを尻目に、浦和の短い直線で後続に楽々と7馬身差をつける圧勝劇を見せた。
 白山大賞典JpnIIIに続くダートグレード勝ちとなったが、スマートファルコンのこの活躍は、小崎憲調教師の堅実なレース選択による結果でもある。
 白山大賞典で重賞初制覇を果たしたあと、普通ならJBCクラシックJpnIを目標にしそうなものだが、ダート路線の層の厚さから出走枠に入るのは無理と考え、当初は武蔵野ステークスGIIIを予定していた。しかし、JBCスプリントJpnIのほうに出走可能と見るや、一気の距離短縮にもかかわらず矛先を変えた。そして勝つことはできなかったものの、バンブーエールの2着と健闘し、賞金を加算。同時に、幅広い距離への適性も示した。
 今回の勝利のあとも、その慎重な姿勢は変わらない。
 普通なら、迷わず東京大賞典JpnIを目標としそうなところだが「リフレッシュ放牧に出して様子を見ます」とのこと。
 真意を尋ねると、「これを勝ったくらいでは、東京大賞典の5頭の中央枠に入るのは難しいでしょう」と。レース直後のコメントだけに、すでにそこまで計算していたとは、ちょっと驚かされた。「一応、東京大賞典に間に合うようには放牧から戻しますが、目標はフェブラリーステークスになるでしょう」とのこと。
 休養明けも2着に好走したアンパサンド、さらに前走埼玉栄冠賞で重賞初制覇を果たしたばかりのクレイアートビュンの3着も健闘だったと言えよう。
 しかし今回印象に残ったのは、スマートファルコンの圧倒的なレースぶり、そしてその将来への大きな期待だった。

 
岩田康誠騎手
  スピードもあるし、できればハナに行こうと思っていました。ちょっとかかるところがあるんですが、今回はなんとかごまかしてレースができました。まだ3歳で、これからもっと強いレースをしてくれると思います。  
 
小崎憲調教師
  たぶん逃げるかなと思って見ていたのですが、なんとか折り合いもついてくれて、安心して見ていられました。1400メートルでも1周するコースならだいじょうぶだし、2000メートルくらいまで対応できるようにと思って調教しています。
 
 


 


 

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ


 
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