top highlighttokusyuucloseuprensaisitemap
 
 

2008年8月15日(金) 佐賀競馬場 1400m

 

巡ってきたチャンスを生かし、堂々4馬身差圧勝

 昨年からハンデ戦となったサマーチャンピオンJpnIII。前走プロキオンステークスGIIIを制し、トップハンデとなったヴァンクルタテヤマに騎乗予定だった赤木高太郎騎手がJRAの開催で落馬負傷。代打として指名され、大きなチャンスが巡ってきたのが、デビューから11年目、地元佐賀の倉富隆一郎騎手だった。
 ヴァンクルタテヤマは単勝1.8倍の断然人気。倉富騎手は思い切りよくハナを奪い、連覇を狙うキングスゾーン、2番人気のダンツキッスイらが続いた。ヴァンクルタテヤマの逃げは快調で、3〜4コーナーから徐々に後続を離しにかかる。直線に入ると倉富騎手は後続との差を確認すべくうしろを振り返り、ゴールのはるか手前からガッツポーズ。2着のダンツキッスイには4馬身差をつける圧勝となった。
 「行けるようなら前に行って、ダンツキッスイが行くようなら2番手でも、という調教師さんの指示どおり乗れたと思います」という倉富騎手は、うれしいというより、大役を果たせてホッとしたという表情だった。
 それもそのはず。倉富騎手に騎乗依頼が来たのは、レースを4日後に控えた月曜日。その後は緊張から夜も眠れないほどだったという。

 
倉富隆一郎騎手
  インターネットで過去のレースとかを見て、前に行かないと力が出せないような感じだったので、出遅れないように気をつけました。直線を向いたら後続の足音が聞こえてこなかったので、勝てるだろうと思いました。  
 
安田伊佐夫
調教師
  トップハンデ57キロも気にしていませんでした。3コーナーあたりで行きっぷりがよかったので、勝てるだろうと思って見ていました。次走は決めていませんが、ダートの短距離路線で、目標はJBCスプリントです。
 
 

 この日の佐賀競馬場は、午後2時ごろからスコールのような大雨。強い雨はしばらく続き、一時、馬場はまるで川のようになるほどだった。メインレースを前にして陽が差し、ところどころに水が浮く程度にはなったが、当然のことながら水分を多く含んだ不良馬場。「湿った馬場もこの馬にはよかったのではないでしょうか」と安田伊佐夫調教師。コースレコードの決着となったのは、大雨で締まった馬場になったこともあってのことだろうが、この日の不安定な天気までもが倉富騎手の味方となった。
 そして連覇のかかったキングスゾーンは、メンバー中もっとも勢いのある勝ち馬とは1キロ差。それを負かしにいっての3着は、ディフェンディングチャンピオンとしての存在感は示したといえるのではないだろうか。

取材・文:斎藤修
写真:宮原政典


 
Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.
当サイトに掲載されているすべての情報、画像等を無断で使用することを禁止します。