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2008年7月16日(水) 川崎競馬場 1600m

 

休養明けもさらにパワーアップ、4馬身差をつけ逃げ切り圧勝

 川崎競馬場と言えば、その時季にちなんだいでたちで登場する誘導馬が名物。今開催は、騎手の有志が願いを綴った短冊と朝顔で彩られていた。蒸し暑さとともに、夏競馬であることを改めて実感させられた。
  この時季の風物詩的なレース、ホクトベガメモリアル・スパーキングレディーカップJpnIII。約9カ月の休み明けをものともせず、4番人気の船橋・トーセンジョウオーが制した。
 昨年10月の埼玉新聞杯を優勝後、脚部不安のために放牧休養へ。4月上旬に帰厩後もじっくり調整を続けてきた。「休み前の埼玉新聞杯より状態はずっといいですね。体はできていると思います」と担当の秋葉文勝厩務員は言っていたが、あとは、レース勘という部分を懸念するのみだった。
 休み前と変わらぬ544キロの巨漢。適度な気合い乗りに、黒光りした毛づやとムチムチした体のハリは、休み明けを微塵も感じさせない姿だった。「返し馬から最高の雰囲気でした」と、今回初騎乗となった戸崎圭太騎手。
 トーセンジョウオーは、のめるような形でスタートを切ったが、この馬らしい二の脚の速さで楽に先手を取った。「スローペースでうまく折り合っていい展開になりました。道中は抜群の手ごたえで、放したらスーッと行っちゃうんじゃないかというくらいでした」(戸崎騎手)。

 
戸崎圭太騎手
  川崎の調教試験から乗せてもらって、パワーがあって力のある馬だなぁと思っていたので自信を持って乗りました。もっと大きいところでもやれると思います。初コンビで勝つことができたことがうれしいです。  
 
川島正行調教師
  脚元が悪くて休養に入っていたけれど、ここを目標にゆっくり時間をかけて調整できた。状態も良かったし、戸崎君には休養明けだから行くだけ行ってみろ!と言ったんだけど、その作戦もぴったりはまったね(笑)。
 
 

 3〜4コーナーからさらにリードを広げ、中団からレースを進めたメイショウバトラーと、そのうしろから徐々に進出したニシノナースコールの人気馬2頭が追走するも、差はさらに広がる一方。「(相手の)脚音も聞こえませんでした」(戸崎騎手)というほどで、2着のメイショウバトラーに4馬身もの差をつけた。メンバー中もっとも重い57キロの斤量を背負っていたが、「こんなに強い勝ち方をするとは思わなかった」と厩舎サイドも一様に舌を巻いていた。
 メイショウバトラーの武豊騎手は、「具合は良さそうだったし得意のコースで距離もいいから自信を持って乗ったけど、逃げ切られちゃったね。今日は勝った馬が強かった。あれだけ行って、終いまでバテないんだから大したもの」と、ライバルを称えていた。
 脚元の不安を克服し、南関東の女帝健在をアピール。いや、さらにパワーアップして帰ってきてくれたトーセンジョウオー。「次走は脚元の様子を見てから決める」と川島正行調教師は明言を避けたが、次は牡馬との頂点を目指して……そんな夢を見ても、いいだろうか。

取材・文:高橋華代子
写真:三戸森弘康


 
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