web Furlong【レースハイライト】第10回ジャパンダートダービーJpnI

2008年7月9日（水）　大井競馬場　2000m

ダートに戻って他馬を圧倒、2番手から直線突き放す

　区切りの第10回を迎えたジャパンダートダービーJpnI。関東オークスJpnIIで白毛として初の重賞勝ち馬となり、さらにJpnI制覇を目指していたユキチャンが、レース当日になって蕁麻疹のため競走除外となったのは、なんとも残念だった。
　それゆえ興味の焦点はサクセスブロッケンに集中し、単勝1.2倍の圧倒的人気。とはいえ今年の中央勢は、いずれもダートで底を見せていない馬ばかり。内田博幸騎手で2番人気となったナンヨーリバーは、ダート初戦の1400メートル戦こそ4着だったが、距離を伸ばしたその後は前走兵庫チャンピオンシップJpnIIまでダートで3連勝。3番人気のスマートファルコンは、芝のクラシック路線こそ結果を残せなかったものの、ダートでは3戦2勝、2着1回。ドバイに遠征（UAEダービー8着）したイイデケンシンは、全日本2歳優駿JpnIを勝って以来の日本のダート。
　しかしそれらの実績は、サクセスブロッケンの強さを強調する材料にしかならなかった。
　ハナを奪ったナンヨーリバーをマークするように2番手を進んだサクセスブロッケンは、3～4コーナーで満を持して先頭に並びかけ、直線を向いて追い出されると、あっという間に後続との差を広げた。まさに正攻法での圧勝。
　スマートファルコンも直線で伸びを見せたが、サクセスブロッケンとの差は詰まらず、3馬身半離された2着。さらに8馬身離された3着に東京ダービー3着のコラボスフィーダ、そして同優勝のドリームスカイと続いた。
　昨年はフリオーソが勝って地元南関東勢が圧倒したが、今年は一転、サクセスブロッケンの強さばかりが際立つ結果となった。
　「3番人気になった日本ダービーでは皆さんに迷惑をかけたので、お詫びというか、恩返しという意味で、この勝利はうれしいです」と藤原英昭調教師。ダートではこれで敵なしの5戦全勝。このあと夏は休養し、最大目標は古馬との対戦となるジャパンカップダートGIとのこと。
　サクセスブロッケンの強さにも驚いたが、ユキチャン効果にも驚かされた。入場人員30,994人は、昨年（19,911人）の5割増し強。先月の帝王賞JpnI（26,288人）をもはるかに上回ったのは、間違いなくユキチャン効果だろう。場内では、初めて大井競馬場に来たとおぼしきカップルやサラリーマン・OLのグループをたくさん見かけた。競走除外はほんとうに残念だったが、ユキチャンは多くの新規ファンを地方競馬に呼び込んでくれた。そして今後もダートグレード戦線に参戦してくれば、また多くのファンを連れてきてくれるであろうことが、何より喜ばしい。

横山典弘騎手

テンションが高かったので、なるべく落ち着いて馬とリズムを合わせるように乗りました。思ったよりデキがよかったので、引きずられるような感じでしたが、なんとかコントロールできました。日本ダービーは残念な結果でしたが、今日はいいところを見せられてよかったです。

藤原英昭調教師

日本ダービーでは馬にプレッシャーを与えてしまったので、疲労が残っていたのですが、なんとか回復してくれました。もし体重が減っているようであれば回避しようとも思っていたのですが、（大井の）馬場も走りやすそうで、理想どおりのレースができました。

取材・文：斎藤修
写真：いちかんぽ