忍耐で勝ち取った初タイトル、北の大地でハート躍る
独特の蒸し暑さに加え、小雨がぱらついた旭川競馬場。日が落ちてからさらに強まった雨脚で馬場状態は稍重となったが、レース発走時刻を迎えると同時にピタリと雨が止み、詰め掛けた多くのファンがスタンド前に姿を見せてレースに声援を送った。
このレース3連覇がかかるアグネスジェダイは意外にも3番人気。1番人気となったのは、7歳馬ながら今回が17戦目となるジョイフルハート。5カ月の休み明けだった前走を2着に好走、別定重量56キロ、鞍上にはユキチャンとのコンビで前夜の関東オークスJpnIIを制した武豊騎手と、条件が揃ったことで初のダートグレード出走ながらも支持を集めた。
3歳牝馬ながら前走でエトワール賞を制して勢いに乗る地元のラブストレングスが好スタートも、行き脚がついてからは敢然とジョイフルハートがハナへ。差なくタイセイアトムが続き、人気の2頭が並んで先行。悠々とラップを刻むジョイフルハートに対して、タイセイアトムはおっつけ通しで、2頭の手ごたえの差は歴然。
「もう大丈夫だと思った」とレース後に武豊騎手が振り返るように、3コーナーで早々とジョイフルハートが後続を離すと、直線も独走。最後に地元のダイワメンフィスに2馬身半差まで差を詰められたが、見た目以上に楽勝での重賞初制覇となった。
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武豊騎手 |
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古豪の壁が高く、新たなスター登場が望まれていたダート短距離路線に、これまた高齢馬が名乗りを挙げた。今後については、「馬の状態を見ながら」と管理する小野幸治調教師は慎重な姿勢を崩さないが、この遅れてきた大物がフレッシュな風を吹き込んだのは紛れもない事実。早くから素質を認められながら休養が多く、使いたいレースも賞金面から断念を余儀なくされ、その忍耐がようやく実を結んだ。この勝利によっていよいよ表舞台への道が開けたと言えよう。
一方で鞍上の武豊騎手は、このレース3連覇を達成したと同時に、連日のダートグレード競走勝利、先日もJRAで通算3100勝を達成するなど、目下絶好調。同馬とのコンビではこれで12戦11連対と抜群の相性を見せているが、この路線には他にも手綱を取る有力馬もおり、しばらくはうれしい悩みが続きそうだ。
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